FIAT500R用のベッドを作った
2021年夏8月9日-10月8日のこと。
以前、FIAT500R(以下チンク)で車中泊できれば、そう思ってMDFで作った足場がうまくいかなかったのが悔しくて、車中泊用のベッドを作ることにした。「車中泊 自作」などのキーワードで調べると、ハイエースなど大きな車で行われているアレだ。アレをチンクで行うのだ。
以前の記事:FIAT500で快適に車中泊をしたいだけなのに
ハイエースのように空間は有り余っているわけもないので、全長の短いチンクの後部座席を外し、フラットかつ一番長さが稼げる高さを測らなければならない。チンクに寝そべるには身長が170cm前後である必要があることがわかった。
ヒートシンクを貼った時にシートを外して長さを測っていた。
助手席と後部座席を外した状態。後部座席を外すと床が露出する。いきなりイレクターパイプを買って全然フラットにならないことを恐れていたので、なにか長い物はないか‥.と探したところ配線用のモールがあったので、あてがってみたところ、いい感じにフラットな直線になることがわかった。そして書いたイメージ図が以下の図だ。
めちゃくちゃ丁寧に書いたつもりだけど、今見ると酷い。図のパイプっぽい部分がイレクターパイプ、その上がコンパネ、更にその上に登山用マットのイメージ。イレクターパイプで作るベッドの足は若干短くしておいて、コンパネの厚みで丁度車の床の最下部と高さがあうようにイメージして書いた。一つ前の写真の後部座席の鉄板が露出している部分が最下部である。わかるかな?
そうして外した助手席部分のサイズも測ったが、フロアマットで覆われていて形状が丸っこいし、真四角なわけでもないので、どうしてもなんとなくのサイズしか測れなかった。心のなかで「(現物合わせでいいでしょ)」なんて思っていたし、設計図を書いたり準備をするのが苦手なのもあると思う。
因みにイレクターパイプと瓜生ふたつの製品でスペーシアという製品もある。最寄りのホームセンターにはイレクターパイプしか売っていなかった。逆にコーナンだとイレクターではなくスペーシアしか売っていないように思う。あとイレクターパイプの方が元祖っぽかったので、今回はイレクターパイプを採用した。
苦手な設計図を書く。タイヤハウスの窪みがあるのでどうやら長方形ではなく、上図のような形になりそうだとわかった。つまり足先は狭い。作ったはいいが、快適に寝ることができないなんてことにはならないだろうか…。
更に詰めて考えて必要なジョイントパーツの形状と個数も算出。しかしイレクターパイプの自由度から、このジョイントパーツの種類がかなり多く苦労した。使用しない時は折りたたんで収納しておけるように、プラスチックではなくメタルパーツを使用することにした。プラスチックのジョイントパーツは、接着剤を使用するので後戻りができないので、バラそうと思っても切断するしかない模様。一応接着剤を使用しないテクニックもあるようだけど、不安定な寝床は嫌だし。
各ジョイントパーツの厚みなどは、公式サイトに書いてあるが、元々の設計図のサイズが曖昧なので、ほぼ考慮せずに長さを決めた。本格的にデキる人はCADなどで細かく引くらしい。イレクターパイプ用のプラグインかなにかも見かけた。本来、この様にピッタリサイズの物を作る時はしっかり設計図を引かないといけない。曖昧なサイズ感で作って良いのは、空間に余裕のあるサイズ感の物の時である事を薄々気づいていたが、気づかないフリをしてそのまま進行。
とりあえず買いに行くか!
思い立ったが吉日。雨の合間を縫って買いに行った。8,000円ほど掛かった。
しかし2mのパイプがどうにも入らない。ドアが無ければ入りそうなんだけど。
この2mのパイプは切り分けて使う予定だったので、店の駐車場で切ることにした。事前に買っておいたパイプカッターと設計図、メジャー、マッキーを持ってきておいてよかった。
パイプカッターを使うのもこれが初めてだったが、延々グリグリ回し続けているとカットすることができた。パイプカッターはイレクターパイプ専用品もあったけど高かったので社外品を使用したが、柄が短いからか結構握力を消耗した。雨が降らないことを祈りながら、駐車場で何本かグリグリとカットしてようやく車に積み込むことができた。
とりあえず設計図の寸法でカットしていく。
タイヤハウスにパイプが干渉してしまっていて、奥に入っていない(上図右下)。というか床がデコボコし過ぎていて、ベッドの脚をつける場所で全然必要な長さが違う。脚が置けて体重の掛かる場所から脚の場所を決定し、現物合わせで脚をカットしていった。脚には保護用のキャップを二重につけるのだけど、つけないと何mmか変わるので、イマイチ高さがよくわからない。ということで失敗して何個かキャップは犠牲になってしまった。
写真中央に小さいレバーが出ているのがわかるだろうか。このレバーを開けると、エンジンで温められた空気が席の足元から出てくる。イレクターパイプの厚みの方がギリギリ高かったので、レバーに干渉しなくて一安心。背もたれの下は塗装面がむき出しだったので、ひとまず夏場に使っていたジェルの座布団をひいている。
それっぽくなってきて、水平も2,3度くらいに収まったので、寝転がってみることにした。まだ上に敷くコンパネは用意していないので、なにか敷けるものはないかと探したところ、以前作成したMDFしかなかった。
寝てみた感じはフラットで全然問題なさそう。しかし頭が背もたれに当たってしまって、隙間がなく窮屈な状態。
どうしようかと悩んでいたところ、背もたれを外すと良いとのアドバイスを頂戴した。ついでに背もたれがベッドになるかも、とのことで試してみたが、背もたれの骨組みが菜箸くらいの太さしかなく強度的に無理そうだった。上図はとりあえず背もたれをハメてみたところ。この上に乗ると多分折れる。
身長にもよりますが背もたれは結構厚みがあるので、もしや‥‥。以前こんな感じで組んだら寝れそうでした😊 pic.twitter.com/WOsPayjOkr
— スシオのチンク (@susiboy) August 21, 2021
背もたれの骨組み。
なんでこんなにピッタリ収まるねんってくらい収まる。
MDFを引いたまま登山用マットを敷いて寝転んでみたら結構良い感じ。車中泊で調べると、骨組みの上に置くコンパネにウレタンマットを敷いて、フェイクレザーで包んでタッカーで留めてコンパネと一体化させる、というのが割と主流っぽかった。悩んだ結果、邪魔だから登山用マットでいくことにした。
足元はこんな感じ。
当初考えていた折りたたんで収納できる、というのはボルトを緩めないといけないし諦めることにした。とりあえず足りないパーツを買いに行く(何度か行った)。
頭側はこんな感じ。背もたれの部分に少し段差があるが、奇跡的に収まった。しかし後輪のタイヤハウスのところまで延長するとは考えていなかったので、その分幅をドンドン小さくしてくしかなかった。
担架みたいなサイズになってきた。
脚の高さと位置を調整しつつカットしつつしていると、脚の長さが足りなくなったりしながら、ようやく骨組みができたので、骨組みの上に載せるコンパネを買いに行くことにした。図にしてみると、購入するコンパネの1/3くらいしか使わない計算だ。
カットしてもらった。
ホルムアルデヒドの処理がしてある物を選んだら、かなりササクレが多く、節のデコボコも大きかった。
節のデコボコは上にマットをひくので良いのだけど、ササクレは持ち運ぶ際にテンションが下がるので、ペンキで厚く塗装することにした。小さい缶で足りると思ったら足りず、また買い出しに行く羽目になり、小さい缶2個かうよりも大きい缶を1個買う方が断然安かったのが悲しかった。
頭側に仮で敷いていたジェル座布団の代わりにシートを買ってきた。これなら薄いので、ベッドを設置しない時も後部座席の下に置いたままにできる。
なぜこんな変な色のペンキにしてしまったのか。 とはいえ何度もペンキを塗り重ねたことで、表面が暑い塗膜で保護され、ササクレとは無縁の状態になった。
コンパネにイレクターパイプを挟むパーツをネジ止めするのだけど、位置をミスってちょっと浮いてしまっているが後で直した。しっかり足元(写真右側)まで確保できている。
マットを敷いてみる。
足元が狭くなっているので、ふくらはぎから下の部分はマットが入らないので少し余る。あとはできるだけ家感を出すために、この上にニトリで買った折り畳める長めの座布団を敷いて使用する。マットの上に寝ると、どうしても寝心地がテント泊っぽくなる。それはそれで良いのだけど、車中泊という非日常の緊張感を和らげ、なるべく快眠するには必要アイテムだと考えた。
同じのが見つからなかったけど、こんな感じのもの。=>ニトリ – ごろ寝クッション(ジェノア H)
というわけでこれでベッド完成!とにかく時間が掛かってしまった。設計図の甘さから、何度も何度も脚の長さを調整したのが辛かった。ちなみにベッド化している時は、取り外したシート類は賃貸ガレージの端にブルーシートに包んで置いておくしか無い。家に置いておくのがベストだけど、運ぶのがけっこう大変だ。
今回の作業中はとにかく大きめのモバイル扇風機が役にたった。というか無かったら暑すぎて倒れていたに違いない。手に持って使用するサイズではなく、もう少し大きいクリップで挟んで使用するタイプのもの。もう家中の扇風機はこれでいいんじゃないかというくらいの風量だ。
実際に車中泊して登山した時の記事:車中泊して近畿最高峰の八経ヶ岳に登った
上記の登山で使用した以降、妻が登山に着いてくるようになり、車中泊ができなくなった。行き場を失ったベッドはブルーシートに包んでガレージに鎮座している。せめて年内に同じ屋外でも自宅のベランダに場所を移そうと思っている。
Comment